リハビリテーションセンター

心臓リハビリテーションのご案内

当院では、虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞)や心不全の患者さんに対して、循環器内科での薬物療法やカテーテル治療に加え、運動療法や生活指導といった心臓リハビリテ―ションを行っています。

心臓リハビリテーションとは?

心臓リハビリテーション(心臓リハビリ)とは、心疾患の患者さんが、体力を回復して自信を取り戻し、快適な家庭生活や社会生活に復帰するとともに、再発や再入院を防止することを目指して行う包括的プログラムのことです。
心不全、心筋梗塞、狭心症、心臓手術後などの患者さんは、心臓の働きが低下し、また安静生活を続けたことによって運動能力や身体の調節の働きも低下しています。
そのため退院してからすぐには強い活動はできませんし、またどの程度活動しても大丈夫なのかが分からないために不安もあります。
これらに対して心臓リハビリで適切な運動療法を行うことが役に立ちます。
さらに、心疾患の原因となる動脈硬化の進行を防止するために、食事指導や禁煙指導などを行い、生活習慣の改善を図ります。

心臓リハビリテーションとは?

心臓リハビリの効果は?

1. 運動耐容能の改善 運動耐容能とは、その人がどれくらいまでの運動に耐えられるかの限界を指します。
心臓リハビリを行う事で、運動耐容能の指標として用いられる最高酸素摂取量(peakVO₂)が15~25%増大すると言われています。

2. 自覚症状の改善 心臓の機能が改善したり血管が広がりやすくなり、身体の血液循環がよくなることで狭心症や心不全の症状が軽くなります。

3. 脂質代謝の改善 LDLコレステロール(悪玉コレステロール)やトリグリセリド(中性脂肪)を低下、HDLコレステロール(善玉コレステロール)を増加させることで、心筋梗塞などの原因にもなる動脈硬化を改善します。

4. 禁煙率の改善 16~25%の患者は禁煙に成功し、自発的な禁煙率もさらに改善させます。
冠危険因子(高血圧、糖尿病、脂質異常症、喫煙等)の是正により心臓死の減少効果が認められており、その中でも特に禁煙の効果は大きいと言われています。

5. QOLの改善 精神的・社会的な機能を向上させ、情動ストレスを改善させます。

6. 死亡率の改善 包括的な心リハは、3年間の経過観察によると死亡率を25%(運動療法のみでは15%)低下させます。

7. 安全性 運動療法患者で有病率や死亡率が上昇したとの報告は皆無と言われています。
安全で効果的な運動内容を提供していきます。

心臓リハビリの対象疾患は?

  • 急性心筋梗塞
  • 狭心症
  • 開心術後
  • 慢性心不全
  • 大血管疾患(大動脈解離、解離性大動脈瘤、大血管術後)
  • 末梢動脈閉塞性疾患

※ 保険適応に基づき、病態によっては心臓リハビリ対象にならない場合もあります。

運動療法とは?

運動療法は心臓リハビリの中心的な役割を担っており、様々な身体的効果が証明されています。
運動をすると、心臓の筋肉を養う血管の血液の流れが良くなり、さらに長期的に行うことで、心臓の機能を改善する効果があると考えられています。
また、予後改善効果も示されており、冠動脈疾患やこれに基づく慢性心不全においては、運動療法単独で心不全増悪による入院を減らし、総死亡、心臓死を減少し生命予後を改善すると言われています。

※ 野原隆司ほか:心血管疾患におけるリハビリテ―ションに関するガイドライン(2021年改訂版)

運動療法の流れ 1回40~60分程度

  • 1. 準備体操
    ウォーミングアップ
  • 2. 有酸素運動
    自転車エルゴメーター
    歩行訓練
  • 3. レジスタンストレーニング
    筋力トレーニング
  • 4. 整理体操
    ストレッチ

※ 患者様の状態によっては、リハビリ内容が異なる場合もあります。

運動療法の効果

  • 1. 体力がつきます
  • 2. 筋肉や骨が鍛えられ、老化を防ぎます
  • 3. 筋肉がつき、疲れにくくなると共に、心臓の働きを助けます
  • 4. 自律神経が落ち着いて、不整脈が減ります
  • 5. 呼吸がゆっくりになり、息切れ感が減ります
  • 6. ストレスが解消されます
  • 7. 動脈硬化の進行を防ぎます
  • 8. 免疫がしっかりして、病気に強くなります

運動処方 運動処方とは、個人にとって安全で効果的な運動内容を決定することを言います。
個人の運動目的、健康状態、生活環境、体力などが加味して、その人に最適なメニューを作成します。
運動処方を決定する方法としては、心肺運動負荷試験のほか、心拍数や自覚症状を用いる方法があります。

心肺運動負荷試験(CPX)とは?

運動負荷試験の一つで、心電図・血圧・呼気ガス(マスクをして)を測定しながら、ペダルが徐々に重くなる自転車をこぐ検査です。
心電図からは動作時の虚血や不整脈の有無や程度、血圧測定からは運動に対する血圧応答、心臓の機能を評価します。
呼気ガスからは、運動中の酸素摂取量や二酸化炭素排出量などを測定し、肺の機能を評価します。これらから、心臓・肺・筋肉を含めた予備能力を測定し、総合的な機能や心不全の程度を評価します。

目的 運動耐容能の評価
体全体の総合的な機能を評価します。
心疾患は運動時に症状が出現することが多いため、運動耐容能の評価は循環器疾患を管理するには重要な検査になります。
CPXでは運動耐容能の評価として最高酸素摂取量(peakVO₂)※1と嫌気性代謝閾値(AT)※2、最大負荷量(maxWR)※3を求める事ができます。

※1 最高酸素摂取量(peakVO₂):全身持久力の代表的な指標
※2 嫌気性代謝閾値(AT):持続的な運動が可能な運動強度の指標
※3 最大負荷量(peakWR):最大運動強度の指標

運動処方の作成
運動療法を安全に実施し、かつ有効なものにするためには重要です。
有酸素運動の運動処方作製法はいくつかありますが、最も正確に決定できるのはCPXであると言われています。
CPXを用いてATを求め、以下の負荷量で運動療法を行います。

  • 1. ATポイントの心拍数に達する運動負荷強度
  • 2. ATポイント1分前の負荷強度(WR)

日常生活指導
心疾患を有した状態で日常活動をどの程度行って良いか、気にされる方も多くいらっしゃいます。
そういった方に対して、CPXで得られた結果をもとにどの程度の日常生活活動であれば安全に行えるかを指導する事ができます。

※ 安達仁:CPX・運動療法ハンドブック 心臓リハビリテ―ションのリアルワールド
心肺運動負荷試験(CPX)
心肺運動負荷試験(CPX)

その他の取組み

心不全手帳 心不全の増悪や心筋梗塞などの再発を予防するためには、退院後も血圧や体重の管理などを行う必要があります。
患者さんが自宅へ戻っても、自己管理が行えるように「心不全手帳」を用いた生活指導も行っています。

心不全手帳