当院ではさまざまな原因によりことばに障害のある方に対して、 言語聴覚療法を行い日常生活上のコミュニケーション能力の向上を図っています。
飲み込みに障害がある方に対しては、安全に口から食べられることを目指し、 様々な飲み込みの訓練を行っています。
言語聴覚士(ST)のスタッフ数は、常勤7名で、入院患者さん・外来患者さん・訪問患者さんのリハビリを担当しています。
専用の言語訓練室は5部屋有しており、集中して訓練に取り組める環境を整えています。
失語症
脳の言語に関わる部分が損傷されたことによって生じる、コミュニケーションの障害です。
障害される言語能力は「聞いて理解する能力」「話す能力」「文字を見て理解する能力」「文字を書く能力」です。
基本的には、この4つのすべての能力に障害が生じます。
しかし障害の重さは一様ではなく人によって様々です。
例えば…
このように、失語症といっても症状は様々です。
当院では標準失語症検査等で毎月必要に応じ精密な検査・評価を実施し、最適なリハビリ訓練を行えるよう取り組んでいます。
また、入院中だけでなく、必要に応じて退院後も訓練や指導などのフォローアップを行っています。
構音障害
脳卒中により、舌や唇、頬などの話す為に必要な部位が麻痺してしまうと、口を大きく開ける事・唇をすぼめる事・舌を左右に動かす事・舌を上下に動かすことなどが上手くできなくなります。
唇や舌が動きにくくなると、発音も悪くなります。いわゆる呂律の回りにくい状態です。
また発音ばかりでなく、呼吸や発声なども障害され、声が小さくなったり、ガラガラ声やかすれ声、鼻声になることもあります。
当院ではより聞き取りやすい発話になるように、唇や舌の運動や発音訓練・発声訓練を行っています。
私たちは特別意識しなくても食べ物を目やにおいで認識し、口の中に取り込み、上手に噛んで、ゴックンと飲み込むことでご飯や水分を摂取しています。
摂食・嚥下障害とは、脳卒中や加齢により、この一連の過程の1つまたは複数が上手く機能しなくなった状態です。
どの過程が上手く機能できていないのかを評価し、訓練することが重要です。
食事を食べる一連の過程
当院はこの障害に対応するために、簡易検査を始め、嚥下造影検査(VF)を行っています。
嚥下造影検査とは、外見上では見る事の出来ない口の中の動きや、食物が口から食道へと移動する様子を観察する事ができ、より詳しく嚥下機能を評価することができます。
嚥下造影検査の様子その結果をもとに方針を立て、安全かつ効果的な方法で訓練を進めています。
嚥下食について
当院では嚥下障害の程度に合わせて、右記の食事形態を提供しております。
その他、患者さんの飲み込み能力や咀嚼力、嗜好等に応じて個別に対応しております。
程度 | 主 食 | 副 食 | 特 徴 |
---|---|---|---|
重度 | 重湯ゼリー (嚥下食Ⅰ、Ⅱ) |
豆腐寄せ 等 (嚥下食Ⅱ) |
咀嚼が殆どなくても食塊形成しやすい食形態。 |
七分粥ゼリー | 嚥下食Ⅲ | ||
粥ペースト | ペースト食 | ||
全粥 | 超みじん食 | 一定の咀嚼能力が必要。歯がない方は義歯が必要な場合もある。 | |
軟飯 | みじん食 | ||
米飯 | 一口切り | ||
軽度 | 常食 |
当院は岐阜県高次脳機能障害支援事業協力医療機関の一施設となっております。
高次脳機能障害とは、脳卒中や脳挫傷により思考・言語・記憶・行為・学習・注意に障害が起こってしまった状態を言います。
高次脳機能障害の一例
このように、症状は多岐にわたります。
当院では、必要に応じて各種検査を実施し評価・訓練を行っております。